「コーヒーとの出会い」ONIBUS COFFEEオーナー 坂尾篤史氏 

【坂尾篤史氏プロフィール】

1983年生まれ。オーストラリアでカフェの魅力に取りつかれ、約一年のバックパックを経て帰国後、バリスタ世界チャンピオンの店でコーヒーの修業。焙煎やバリスタトレーニングの経験を積み、2012年に独立。奥沢に『ONIBUS COFFEE』をオープン。現在は都内に5店舗、ベトナムホーチミンに1店舗を運営。 トレーニングやワークショップなど行いながらアフリカや中米のコーヒー農園に積極的に訪れ、素材の透明性を高め、トレーサビリティを明確にする活動を積極的に行う。

コーヒーとの出会い

人生の中でいくつかコーヒーへの印象や距離感が大きく変わった瞬間があります。 一つは、2000年初頭のカフェブーム。そのころに上京してきて、ファッション感覚でカフェを巡りコーヒーを飲むようになりました。雑居ビルの一角を改装したカフェやルーフトップがあるカフェ、路地裏の古民家を改装したカフェなどおしゃれなカフェによく行ったのを覚えています。当時は美味しいコーヒーがどんなもかもわからず、出てきたコーヒーが苦くてミルクと砂糖を沢山入れて、ただおシャレだから、流行っているからという理由で飲んでいました。

本格的なコーヒーの出会いは、2006年11月バックパックの一番初めの国オーストラリア、シドニーです。そこで出会ったコーヒーカルチャーが僕のコーヒーの概念を大きく変えるものになりました。

コーヒーとの出会い

その当時からオーストラリアではエスプレッソ系のコーヒーショプが数多くあり、どこも朝から賑わっていて、テイクアウトカップを手に持ち街を歩いている人が沢山いました。
僕はというと、一緒に住んでいたドイツ人に連れられ、駅からコンコースに抜けるところにあるコーヒースタンドに毎朝通っていたのですが、そこで飲んだコーヒーは砂糖を入れなくても程よい甘さと、心地よい風味を感じることができて今までの飲んだことがあるコーヒーとは違ったものでした。
タトゥーのはいったバリスタが手際良くマシンを操り、ドーシングとスチームの音が小気味よかったのを覚えています。 そこにはコミュニティが存在していて、沢山の人が行き交う朝の時間、バリスタとお客さん会話や、お客さんどうしのコミュニケーションがあって、コーヒーさっと飲んでそれ仕事や学校に向か日常がありました。

滞在中、シドニーのカフェ巡りをして、美味しいコーヒーやオーストラリアの人の日常にあるカフェの大切さを感じ僕もすっかりオーストラリアのカフェカルチャーに魅了されていました。
数ヶ月をシドニーで過ごし、その後、アジア各地をバックパックで回るのですが、そのころのアジアは、コーヒーショップはほとんどなく、チャイやミルクティーなどなどを飲むことが多かったのですが、ただちょっと休憩するときはカフェに入ってチャイを飲みながら次の目的地の情報をもらったり、地元の人におすすめを聞いたり、バックパッカー同士で情報交換したりカフェでは、そんな過ごし方をしていました。
この頃から日本に帰ったら美味しいコーヒーを提供するお店を、そのコーヒーショップが街のコミュニティの一端を担うようなお店を作りたいと思うようなっていきます。バックパックをしていく中で、いろいろな場所で沢山の人と出会い、誰かと少しの時間を共有する大切さを感じて、日本でそういう場所を作れたらどんなに素敵なんだろう。そんな思いで頭がいっぱいでした。

インドやバングラディッシュ、ネパールやチベットを訪れたあと日本帰ってきて、まずはおいしいコーヒーを提供するために、時間を費やそうっと思い、当時はあまりなかったエスプレッソ系の専門店、世界チャンピオンがプロデュースしたカフェで働き始めます。このお店でコーヒーと向き合う先輩、同僚に出会えたことが僕の今のコーヒーとの関わりに大きく影響を与え、そこからコーヒーと向き合う日々が続いていきます。
生産地を理解し、コーヒーの風味特性をしっかり捉え、エスプレッソでもフィルターコーヒーで美味しい、クオリティの高いコーヒーを提供するサービスマン「バリスタ」になろうと決めたのもこの頃です。

エスプレッソ系の専門店

僕にとってコーヒーは人生を豊かにするものだと思っています。
2012年1月に独立して、小さな焙煎機とエスプレッソマシン、1人で始めたコーヒーショップも10年を迎え、今では5店舗と25人のスタッフ。スタッフやたくさんお客さんとの出会いがあります。時には仕事を一緒にするお客さんもいます。
生活のほとんどの時間をお店とコーヒーに費やして、狂ったようにコーヒーと向き合った時期もありました。コーヒーと向き合っていく中で感じたのは、豊かな生活の一つの要因は、他者との出会いと本質的なものと触れること。

僕自身、コーヒーを通し、国籍を関係なくたくさんの人に出会いました。世界中のバリスタと繋がり、情報交換をしたりもします。 また、生産地域を尋ねコーヒーの透明性を高める活動の中で、自然環境や社会問題に興味を持ち始めました。カフェを通し食やその生産にも興味を持つことができました。
コーヒーを突き詰めて仕事をしていくと、他の業界の人たちとも大切なことに共感し、お互いの仕事を理解できます。
それらの出会いが僕にとってはコーヒーを仕事にしていく喜びであり、自分にとってのコーヒーとの付き合い方です。
そしてこれからも、僕たちのカフェがあることでその街の価値を高めることができるような仕事をすることがオニバスコーヒーでのバリスタの仕事だと思っています。

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