インスタントコーヒーからハンドドリップへの道 / 面倒くさがりでもおいしく淹れられる5つのポイント Amazonベストセラー作家「岩田リョウコ」

【岩田リョウコ氏プロフィール】

シアトル在住中の2012年にコーヒーの基本、トリビアなどをわかりやすくイラストで説明するコーヒーサイト「I Love Coffee」を立ち上げる。月間ページビュー150万のサイトに成長。2015年にはサイトが書籍化され、Amazonランキング全米1位のベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。著書に『週末フィンランド ちょっと疲れたら一番近いヨーロッパへ』(大和書房)、『エンジョイ!クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』(KADOKAWA)、『コーヒーがないと生きていけない! 毎日がちょっとだけ変わる楽しみ方』(大和書房)、『HAVE A GOOD SAUNA! 休日ふらりとサウナ旅』(いろは出版)がある。

インスタントコーヒーからハンドドリップへの道

ハンドドリップスタート

はじめまして。岩田リョウコと申します。コーヒー好きが高じて『コーヒーがないと生きていけない!』というコーヒー本を出しています。文字通り、朝から晩までずっとコーヒーを飲んでいて、コーヒーがないと生きていけないんですが、実はわたし、30歳までコーヒーを一切飲まない人生を送っていました。

コーヒーは苦くてまずいもの。そう思い拒み続けて30年。それがある日、「ちょっと待って。コーヒーっておいしいかも?」と思って以来、飲み続けています。友人に連れて行ってもらったカフェで優しい味のラテを飲んだのがきっかけでした。完全に「飲まず嫌い」っていうやつでした。今では昔はどうやってコーヒーなしで朝起きて仕事に行っていたんだろう? と不思議に思っているくらいです。

最初はいつもカフェで買って飲んでいましたが、朝起きてすぐに飲みたいのに支度してカフェまで歩いて行かなきゃいけない……。ならば起きてすぐ飲めるように家でコーヒー作ってみるか! の気持ちからわたしのおうちコーヒーが始まりました。もちろんコーヒーの初心者なので、何から始めていいのかわからないところからスタートしました。なのでまずはインスタントコーヒーからでした。

お湯を注いだらできてしまう粉のタイプからはお手軽だし、スキルもなにもいりません。でもやっぱりカフェのコーヒーとは違う。コーヒーが好きになるにつれて、だんだんおいしいコーヒーとそうではないコーヒーの差や、自分の好みのコーヒーがわかるようになりました。そうなると、インスタントの粉では物足りなくなってきます。

もしかしたら「そろそろ自分でコーヒー淹れてみたいな」と思っていてここに辿り着き、今これを読んでいるという方もいるかもしれません。誰だって最初は初心者です。わたしもコーヒーの専門家でもバリスタでもない、ただの「コーヒー好き」です。自分が好きでホッとするコーヒーを淹れられるレベルです。おいしいコーヒーって、もちろん素材の良さなどが影響しますが、やはり自分が楽しんで飲めたかどうかでおいしさってすごく変わると思っています。試行錯誤しながら、失敗もしながら、それでも楽しんでコーヒーを淹れられたら、それはきっととってもおいしいコーヒーになります。

さて、おうちコーヒーを始めるには器具をそろえることからです。わたしは、コーヒーに限ったことではないのですが、事初めの段階でいきなり高くていいものを買うと、ちょっと義務感というか、プレッシャーを感じてしまうので、最初はお試しでやってみて、これは続けたいと思ったり、もっとこだわりたくなったら投資していいものを購入すればいいと思っています。なので最初はハンドドリップから始めました。ハンドドリップに必要な器具って、意外や意外、かなりお安いんです。コーヒーカップ以外をあげていきますね。とりあえず最小限でいきましょう。

計量器

いきなり計量器? とお思いかもしれませんが、これ、とっても大事です。計量器でコーヒー豆と水の量を計ります。料理用の計量器をすでにお持ちであればそれを使ってください。もしなければ1000円以内で買えます。おいしいコーヒーを淹れる一番のポイントは、高価な豆でも水質でもなく「計量」です。

ケトル

一旦おうちに今あるやかんでも大丈夫ですが、ドリップ用のケトルはお湯の注ぎ口が細く長くなっていて、ゆっくり細くコーヒー粉に注げるようになっています。おうちにあるやかんでやってみて、やっぱりケトルにしようと思ったら買ってみてください、すごく淹れやすいのがわかると思います。

ドリッパー

ドリッパーはプラスチック、陶器、ガラスの種類があります。わたしは初めての器具がHARIOのV60というもので、今でもそれを使っています。バリスタさんに愛されているドリッパーで、プロが使っているのを見ると、コーヒーの淹れ方がわかれば器具はシンプルで大丈夫ということを教えてくれている気がします。

ペーパーフィルター

コーヒー豆は濾して淹れるのですが、紙だったり金属だったり布だったりといろんなパターンがあります。ペーパーフィルターは100均でも売っています。円すい型のドリッパーなのによく確認せずに台形のフィルターを買ってしまった失敗をしたことがあるので、ドリッパーの形と同じフィルターを確認して買いましょう。

以上です。あとはコーヒー豆ですね。豆を挽くグラインダーは初めてのおうちコーヒーではまだ買わなくて大丈夫です。というのも、豆を挽くのって結構むずかしくて、抽出方法に合った挽き目を調節して綺麗に豆を挽くというのはなかなかの作業です。じゃあどうするの? となりますが、信頼するカフェで「ペーパードリップ用に挽いてください」と言って挽いてもらいましょう。カフェのグラインダーは高価なもので業務用なので刃もしっかりしているので、きれいに挽いてもらえて豆の抽出率もグンと上がります。なので、最初は「豆を買って挽いてもらう」で大丈夫です。

ここでポイントは1週間以内に飲み切れる量だけ挽いてもらう事。そしてすでに挽いてある豆は買わないということ。コーヒーは果物や野菜と同じだと思ってください。できるだけ新鮮なうちに消費することを心がけてくださいね。そして挽いてある豆は栓の開いているビールを買うのと同じだと思ってください。新鮮な豆を新鮮なうちにおいしくいただきましょう。

面倒くさがりでもおいしく淹れられる5つのポイント

コーヒーを自分で淹れ始めてかれこれ10年経つんですが、コーヒーの本まで出していることもあって、こだわりが強いと思われがちなんですが、もともと面倒くさがりで大雑把な性格なので、おうちで淹れるコーヒーは自分なりのおいしいコーヒーが簡単にできて、自分が満たされるのならそれでいいやって思っています。というわけで、基本の淹れると、わたしのように面倒くさがりで大雑把な人でも、ぐっとおいしくなるポイントだけ押さえてハンドドリップをやってみましょう。

ご紹介した器具【計量器、ケトル、ドリッパー、ペーパーフィルター】を揃えたら、いよいよ「淹れる」です。器具の他に必要なのは、コーヒー豆とお湯。コーヒーってこんなにシンプルなのに楽しみ方いろいろで 、それがずっと飲み続けてしまう理由かもしれません。

さてコーヒー豆ですが、信頼するカフェの業務用グラインダーでしっかり挽いてもらったものをまずは使いましょう。慣れてきたらグラインダーを購入して自分で挽くことに挑戦してみてもいいですし、プロに挽いてもらった豆を使うのはスキルが上がっても続けていいと思います。

①黄金比

まず一番のポイントは、コーヒーと水の黄金比と言われているのが「16:1」ということです。とはいえ、お店や抽出器具によって微妙な差はあります。今回はわたしの著書『コーヒーがないと生きていけない!』でドリップコーヒーの仕方を教えてもらったOnibus Coffeeのレシピ「17.3:1」でやってみましょう。水225ccにコーヒー13gです。

②ペーパーフィルターを折る

お湯を沸かしながら、ドリッパーにペーパーフィルターをセットします。自分でも気づかないうちに無意識でやっていたことがあって、それはフィルター端の接着部分を折ってから広げてドリッパーにセットすること。バリスタの方に聞いてみたら折るのは正解だそうで(ヤッター!)、折ることでフィルターがドリッパーに密着して均等にコーヒーを抽出することができるからだそうです。無意識で折る習慣づけをしましょう。

③ペーパーフィルターをお湯で濡らす

次のポイントはペーパーフィルターを一度濡らすこと。お湯で紙の味を流すとコーヒーに雑味が流れ込まないというわけです。コーヒーカップまたはポットにフィルターをセットしたドリッパーを乗せて、さっとお湯をかけるだけです。カップに落ちたお湯は捨てちゃいましょう。

④お湯は沸騰後45秒待ってから

コーヒーを淹れる時、お湯は沸騰してすぐよりも85〜94度くらいがちょうどいいんです。でもわざわざ温度計で計って……って面倒くさいですよね?ケトルの材質によって多少の誤差がありますが、お湯が沸騰して45秒ほど待つとちょうど90度くらいに下がります。45秒待ったら、いよいよドリップです。カップの上にドリッパーを乗せたまま、それごと計量器の上に乗っけちゃいます。ここで挽いたコーヒー豆(13g)を投入してメモリはゼロにリセット。全部でお湯は4回に分けて注いでいきます。

⑤しっかり計量、しっかり蒸す

■1湯目のお湯40gを注ぎます。最初は蒸らしです。40gまで注いだら少しドリッパーを持ち上げてくるくるとまわしてください。お湯がコーヒー粉全体に均等に行き渡ります。

■30秒くらい蒸したら、2湯目スタート。120gになるまで中心からケトルを回しながら注ぎます。

■2湯目が落ち終わったら3湯目を。180gまで注ぎます。

■最後の4湯目も、3湯目が落ちたらスタート。225gになるまで注ぎます。コーヒーが完全に落ち終わるまで待ったらできあがり。

カフェでバリスタさんが丁寧に淹れているドリップを見ていると所作が丁寧なこともあって、長く感じますが、実はこの工程、1湯目30秒、2湯目30秒、3湯目30秒、4湯目30秒、落ち終わるまで1分で、全部で3分なんです。カップラーメンと変わらないんですよね。なんだかハードル下がってきた気がしませんか?ハンドドリップはこんな感じで気軽に始められますが、繰り返し淹れていると腕が上がってどんどんおいしくなる奥の深い抽出方法です。わたしも毎日淹れていますが、まだまだ修行中です。16:1のレシピを少しずつ変えて、自分が思う最高においしいコーヒーに辿り着けますように!

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