コーヒーチェリーをそのまま乾燥させる生産処理「ナチュラル」の特徴やメリット・デメリットとは?

コーヒーチェリーをそのまま乾燥させる生産処理「ナチュラル」の特徴やメリット・デメリットとは?

コーヒー豆は、コーヒーノキ(コーヒーの木)になる「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実の中に入っている種子(生豆)を取り出したものです。

種子を取り出す作業を「生産処理」と言い、「ナチュラル」「ウォッシュド」「ハニープロセス」「スマトラ式」の4つの方法があります。

この記事では、その中のひとつ「ナチュラル」について詳しく解説します。

精製方法のひとつ「ナチュラル」とは?

ナチュラルとは、収穫した種子を選別した後、そのままの状態でパティオや棚の上で乾燥させたもので、非水洗処理方法やドライ方法とも言います。

パティオとは、コーヒー豆を乾燥させるためのコンクリートの広場のことです。

乾燥させた種子は、その後に脱穀して外皮や果実を取り除き、中から生豆を取り出します。乾燥期間は約2週間。実が小さくしぼみ、色がかわったら終了です。

ナチュラルは、天日で干すため、広大な土地や乾季があるブラジルやエチオピア、イエメンなどで多く採用されています。乾燥の過程で天日ではなく機械で乾燥させる場合もあるので、天日で干したことを明確にしたい場合は、「サンドライド」と呼ばれることもあります。

ナチュラルプロセスで精製された豆の特徴

ナチュラルの特徴には、次のようなものがあります。

茶色がかった緑色をしている
ナチュラルは、生豆の色が茶色がかった緑色をしています。一般的な生豆はグリーンですが、果実の糖分が種子に吸収されると色がつくと言われています。

大量の水を使用しない
生産処理方法のひとつのウォッシュドは、処理の過程で大量の水を使用します。ナチュラルは収穫した後そのまま乾燥させるだけなので、人手は必要ですが大量の水は必要ありません。

設備があまりいらない
ナチュラル以外の生産処理方法では、コーヒーチェリーの外側と果肉を取り除くパルパーという果肉除去機が必要です。また、ウォッシュドでは生豆の殻のヌメリを取るための専用のタンクも必要です。

ナチュラルは、豆を乾燥させたり選別したりするための人手は必要ですが、設備はほとんどいりません。

ナチュラルのメリットデメリット

ナチュラルには次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット
・環境に優しい

ウォッシュドでは使用した後の廃液を排水する必要があるため、環境汚染が問題になっています。ナチュラルは、環境を汚染しない環境に優しい生産処理方法です。

・お金があまりかからない

生産者の立場から見ると、大量の水や大がかりな設備が必要ないので、あまりお金がかからない生産処理方法と言えます。

デメリット
・気候に左右される

ナチュラルは収穫した種子を天日で乾燥させるため、天気の影響を強く受けます。雨が降った場合と降らなかった場合では生豆に含まれる水分量が異なります。

また、乾燥する時期に雨が降ってしまうと、乾燥状態にムラが出たり、生豆が発酵してしまったりすることもあります。

・欠点豆や異物が増えやすい

ウォッシュドやハニープロセスは、パルパーで皮や果実を取り除く過程で欠点豆も取り除きます。しかし、ナチュラルは果肉が付いたままで乾燥させるため、天日で乾燥させるため、全ての豆が同じ程度に乾燥できるわけではないのでバラツキがでやすいでしょう。

・クリーンの均一さが難しい

コーヒーの評価に「クリーンカップ」という項目があります。これは、コーヒーを味わった時の透明感を指しプラス項目とマイナス項目があります。

プラス項目には、きれいさ・透明感・汚れのなさなどがあり、マイナス項目には、汚れ・カビ臭・土臭・フルーティさがない、などがあります。

ナチュラルは上記で触れたように、均一に乾燥させることが難しいため味わいにも変化がでてしまうのです。

ナチュラルプロセスで精製されたコーヒーの味は?

ナチュラルは、果実に含まれている糖分などをはじめとするさまざまな成分が生豆に吸収されるため、甘みやコクが強く出ます。

とくに強く出るのが甘みで、完熟したコーヒーの果実を摘んで最高の状態で乾燥されたものは、チョコレートやナッツなどの風味も感じることができます。

また、フルーティで熟したワインを連想させる風味もあるので、やみつきになってしまう美味しさが特徴です。

ナチュラルプロセスの場合、収穫したコーヒーの果実をそのまま使用するため、その果実の成分を吸収した種子もひとつひとつ、微妙に味や成分が異なっています。そのため、ナチュラルコーヒーにしかない、独特の甘みやコクが出やすいのです。一口飲んだだけでナチュラルプロセスのコーヒーだと分かるほど、他のプロセスで精製されたコーヒーとは違う味わいになります。

精製方法でも好みのコーヒーを見つける

同じ種類のコーヒーでも生産処理方法によって味や風味が異なります。

ナチュラルプロセスのコーヒーは、その他の処理方法にくらべると、味わいにムラがでやすい反面、ナチュラルプロセスでしか味わえない甘みやコクを味わうことができます。

コーヒー豆を買う時に、同じ種類のコーヒーで生産処理方法が違うものを求めると、その違いをじっくりと楽しむことができます。

ナチュラルプロセスで精製されたコーヒーを楽しみたい場合は、スペシャリティコーヒーを扱うお店では殆どの場合取り扱いがありますから、一度探しに行ってみてみるとよいでしょう。浅煎りコーヒーは豆の特徴が強くでるので、ナチュラルらしさを一番楽しめる飲み方です。

今回は、コーヒーの精製方法のひとつである「ナチュラル」にフォーカスをあてて紹介しましたが、他の精製方法と飲み比べて好みのコーヒーを探すのもよいですね。

自宅でコーヒーを入れる時に、豆だけでなく生産処理方法にもこだわってみると、コーヒー選びの楽しさが一段と増しますよ。

コーヒーは豆や焙煎度合い、抽出方法でも味わいは変わりますが、精製方法でも味わいが大きく変わります。

知れば知るほど、もっと知りたくなるコーヒーの世界。何通りもあるコーヒーの味わいから好みのコーヒーへの最短距離を目指すか、ゆっくりと時間をかけて極上の一杯を探すか。それぞれのペースで好みのコーヒーを探求していきましょう。